スイスの銘醸ワインを生み出すことで知られるヴォー州。レマン湖畔の急斜面に沿って、石造りの特級畑テラスが広がる光景が有名ですが、今回紹介する場所は、レマン湖からローヌ川を少し遡った、シャブレChablaisと呼ばれる地域にあるエーグルAigleの町です。シャブレ地区のワインは、辛口でコクがあり、レマン湖畔のラヴォー地区Lavauxとは少し異なるそうです。エーグルの町からは、小悪魔たちという面白い名前のレ・ディアブルレLes Diablerets、インターナショナル・スクールがあるレザンLeysinなどのリゾート地への登山電車が発着し、ヴォードワ・アルプスVaudois Alpsへの表玄関といったところですが、観光客の姿はなく、ひっそりとした落ち着いた町でした。
写真は、エーグルの町の郊外にある、エーグルの城Chateau d’Aigleです。周りを葡萄畑に囲まれて、実に美しいお城ですね。嘗て、フランス・サヴォア侯の居城として建設されたお城は、度重なる戦火に遭いながら今日も威厳を保ち、現在はワイン博物館になっています。スイスワインばかりでなく、ヨーロッパ各国のワインにまつわる歴史的な道具を見学することができます。中でも見物は、古風なワインラベルの展示で、見ているだけでも飽きません。子供のとき母親の実家に行くと、昭和何年ぐらいのものでしょうか?錆付いた古い看板を見かけた記憶がありますが、いいですよね、ああいった風景大好きです。3年以上前の記憶ですが、古いワインラベルを見ていて、そのとき考えていた記憶が今、蘇りました。
写真の葡萄畑の継ぎ目の下を石造りの路地が網目状に走っていて、路地からお城が見えないので、写真を撮る場所を探すのに苦労しましたね。2時間余り彷徨った記憶があります。そうこうしているうち夕方になり、晩餐会があるらしく、エーグルの城に町民でしょうか?ぞくぞくと人が集まり始めました。自然と遺産と、そこに根付く文化の三者が同居して、やっぱりヨーロッパだなぁと感じ、エーグルを後にしました。